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変な妄想



私は架空と現実、フィクションとノンフクションの区別が、
極端にできない子どもだったみたいです。3.jpg

テレビでホームドラマを見れば、何者かが家に上がりこんで、
ずーっとカメラを回し続けていると思い込んでいたり……。
下からあおるようなアングルで食卓が映れば、
「食事中覗きこまれたりして、嫌じゃないんだろうか」
と人ごとながら心配し、上から見下ろすアングルがあれば、
「カメラの人頑張った!でも、ハシゴの上から見降ろされながら寝るなんて……」
などと、〝演技〟というものがこの世にある、という考えにさえ至れば、
すぐに解決する心配を胸に秘め、割とおとなしめな女の子として日々を過ごしておりました。

その他にも、アニメで魔法使いものが流行り、憧れ、
ひみつのアッコちゃんのコンパクトを買ってもらい、
一生懸命パンダに変身しようとして、ならないといっては癇癪を起こしたり、
ウルトラQの再放送で、子どもが帰宅したら両親がカネゴンになっていた話を見、
帰宅時ドアを開けるたびに、親がカネゴンになっていないように祈ったり……。
今から思えば馬鹿な考えでも、当時、真剣でしたので、
それなりに心理的負担の多い日々だったように思います。

そんな私の頭の中のおかしさが、周囲に露見したのは、
兄がとっていた「小学3年生」だかの巻末にひっそりと載っていた
〝世界の不思議な話〟の記事を読んだ時でした。

今も「UMA(ユーマ)」(※)などの、
この世にいるんだかいないんだか分からないモノが好きで、
ムー編集の「最強のUMA図鑑」などをコンビニで見つけると、いそいそ買ってしまう私ですが、
この特集も、そんなちょっと人目をはばかって読むような怪しい話が満載でした。




ある日、兄の目を盗んで、今月の話をそっと開くと……
「全身毛むくじゃらになってしまった男」という記事。
……ヒマラヤかどこかの村で、体毛が伸びるのが早く、
切るのが追いつかず放置していたら、
全身毛むくじゃらになってしまった男がいるとのこと。
怪しげなイラストには、全身ヨークシャテリア状の長い毛に覆われた男が、
うらめしそうな眼差しで、仁王立ちしている図がありました。


……面白半分で読んだはずなのに、しばらくすると、
例によって、自分も全身毛むくじゃらになったらどうしよう……
という心配がじわじわ襲ってまいりました。


いや、これ、ヒマラヤかどっかの寒い国の話だし。
これ、大人の男の人の話だし。
大人の男って毛濃いし。
大丈夫。私は子ども。
肌つるんつるん。
いや、まて。
!!??
なんじゃいこれは――!!?



私はその時、5歳か6歳だったと思うのですが、
はじめて自分の「体毛」を意識したのです。
……というか、幼児だから体毛も産毛状で、
それまで意識に入ってこなかったということだと思うんですが……
肌ってよく見ると、毛が生えているじゃないか!それも全身!


衝撃の事実に、突如大泣きし、
集まってきた家族に、
自分はもうだめだ。全身に毛が生えてきてしまった。
いずれ大人になる頃には私もこうなってしまうのだ――と
訴えながら全身毛むくじゃら男のイラストを見せると、
大泣きしている私を囲み、
もちろん家族は大爆笑。03.jpg
……今思えば、さぞ面白かったことと思います……。



この「世界の不思議な話」はそれでも懲りずに愛読し、
「全身の汗線からおしっこがでてしまい、困っている男」
というのにもひっかかってしまい、
自分の全身をよく見ると、汗の出る穴が開いているのに初めて気づき、
また大泣きし、
同じ目にあいました。



なんで学習しなかったんでしょうね?実は怖がりたかったんでしょうか?自分でもよく分かりません……。



(※)UMA(ユーマ)」(Unidentified mysterious Animal未確認動物・ネッシーとかビッグフットとかツチノコとか、噂はあるが確認できていない動物のこと)