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なつかしの未来




祖父・建築家山田守のこと ②


祖父の建造物は、①でも申し上げたように、
どうも人々の遊び心を誘うところがあるようで、
バルタン星人に占拠される科学センターの設定で使われたり、
ゴジラの熱線で破壊されたり、
なつかしのドラマ「教師びんびん物語」では、
架空の「聖橋大学付属小学校」なるものの舞台とされていたり
(例え古くてスミマセン(汗)、
ずい分、色んなことになっているようです。


祖父は、建築史的には「分離派」という、
今までの建築の流れにとらわれない物を造ろうとした一派の一員、
ということになっているのですが、
その中でも特に、流線や曲線を多用したことが特徴的だったそうです。


おそらく、祖父の多様している曲線や流線は、
科学の発展が、はてしなく人間を豊かにしてくれる、と
楽観的に信じられていた時代を思い出させるところがあるので、
(流線型の流行は、
飛行機が、ライト兄弟の偉業によって空を飛び、
以降、空気抵抗を減らすために流線形をまとっていったものが
デザインとして近代的だ、ということで流行したそうです)
そのへんのノビノビした雰囲気が
ウルトラマンのロケにぴったりな雰囲気を、醸し出していたのだと思います。


そういえば、ありました。
人々が、ウルトラマンみたいなぴったりしたスーツに身をつつみ、
空飛ぶ車で、流線形の多用される都市を駆け抜ける。
そんな、科学がなんでも解決してくれる近未来を、皆が楽観的に信じていた時代……。

公害やら環境破壊やら現代病やらの
科学や文明の進歩にまつわる負の面が、顕著になってからというもの、
そのようなイメージは、なりを潜めてしまいましたが、
かつては、鉄腕アトムから大阪万博くらいまで
結構色んなところに流布していたイメージです。
そのはしりが、祖父の活動した時代から、顕著に始まっていたのかもしれません。


祖父の建物をふりかえって、感じるのは、
「なつかしい未来」が今も、
祖父の流線型の中に、とどまっているんだなあ、
ということです。

過去に作られたものであり、
写真でいえばセピア色の、ノスタルジックなものなのに、
想定されているのは、今だ到達していない、この先にある未来.

しかも、その新しさの感覚が、すでに古い、という……。
どこに時間の軸を置いたらいいのかわからなくなる、奇妙な感覚。
たくさんの人の中に共有されていたのに、
きっと来ることはない、という不思議な感覚。

祖父の建物が、どかーんとあからさまに建っているにもかかわらず、
なぜか憎めないところがあるのは、
今の私たちからしてみれば、
そんな未来を想像していた、少し前の人々にたいし、
のびのびしたいい時代があったんだね、と
一抹の郷愁を感じることにもあるのかもしれません。